まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『ピンポンラバー』感想

ピンポンラバー (ガガガ文庫)

ピンポンラバー (ガガガ文庫)

ストーリー
かつて天才卓球少年と呼ばれた飛鳥翔星は、怪我のため卓球界から姿を消した。それから数年後、私立卓越学園の入学式に彼の姿があった。そこは日本全国から集まった卓球エリートたちがひしめく最高峰の学園。翔星がこの学園に進学した目的は小学生時代に唯一敗北を喫した名も知らぬ少女を見つけ出し、そして勝利することにあった。だが、入学初日にして彼は本物のエリートによる洗礼を受けることになる……。その身を焦がすほどに卓球を愛し、すべてを捧げた少年の燃えるような青春。第12回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。

第12回小学館ライトノベル大賞<優秀賞>受賞作品。
卓球のエリートたちが集う学園で、怪我から復帰したかつての天才少年と同年代最強の少女がタッグを組み、無敵を誇る先輩の天才少女に挑む、熱血学園卓球ストーリー。
いやー熱い! 梅雨明けの太陽にも負けない熱さ! あの日の約束、負けられない戦い、挫折と克服……。卓球に全てを捧げた少年少女の、汗ほとばしる情熱の日々を見よ。


小学生時代天才卓球少年として騒がれた主人公・飛鳥は、当時唯一敗北した女の子のことを探して、日本の卓球の最高峰たる卓越学園に高等部から編入
早々に訪れる中等部からのエスカレーター組の洗礼。中等部時代にランキング八位だったという彼に、しかし飛鳥は圧勝を収めてしまうのだ!
くーっ、たまらない! かつての天才、今は無名の選手が、威張り散らしている上位者にカウンターパンチを食らわす。これぞスポ根といわんばかりのベタな流れながらハートにぶっ刺さりました。これこれ、スポーツものはこうでないと!
しかもその後すぐ本当の強者たるヒロインにボロ負けして、彼女からダブルスのパートナーに選ばれるという更に燃える展開。もうね、初っ端から読んでいて楽しくて仕方なかったです。


白鳳院瑠璃。中等部時代のランキング一位にして誰をも寄せ付けない天才。しかし彼女にして一度も勝ったことのない超天才がこの学園には存在していた……それが他ならぬ瑠璃の姉・紅亜です。
4月中にどうしても姉に勝ちたい理由が瑠璃にはあって、だからこそダブルスのパートナーとして選ばれた飛鳥。彼は彼で、紅亜があの時の少女ではないかという疑念もあり、瑠璃の話に喜んで乗っかるのでした。
卓球が好きで好きで大好きな卓球バカの飛鳥と、盲目的に姉との勝負のことしか見ていない瑠璃とは性格も違うし、ぶつかることも多くてなかなか上手くいかない。
また、飛鳥が一時卓球を離れるきっかけとなった膝の怪我のこともあって……。勝つために本気を出したいという瑠璃の思いと、飛鳥に無理はさせたくないという幼馴染・椿の思いもまたぶつかり合う。それでも少しずつ折り合いをつけながら、1年男女最強コンビは、学園最強の魔女に挑んでいくのです。
飛鳥と瑠璃は、パートナーであると同時に最高のライバル関係でもあって、きっとお互いに「こいつには負けねえ」と思いながら高めあっているに違いなくって、そんな関係性が大好きな僕は完全にやられちゃいました。
トリッキーな卓球を見せる友人の沙月、守りの卓球で1年男子トップクラスの風間などなど、他にも魅力的な選手が何人も登場してきて、彼らがその力量を見せる試合の描き方がまた格別に素晴らしくて最高でした。気付いたら白球が通りすぎているスピーディーかつ迫力のある描写。個性溢れる技の数々。
飛鳥&瑠璃 vs 紅亜&前園のエキシビションマッチはまさにその最上級で、手を変え品を変え魅せてくれて、もうね、手に汗握りっぱなしでしたわ。
あの日の少女の思わぬ真実と、その後のエピローグまで、見事な物語展開でもはや拍手しかできません。ぜひ続きが読みたいなあ。


イラストはみっつばーさん。えっめちゃくちゃ凄くない……? 躍動感に満ちた完璧なイラストでした。
コミカライズの方もぜひお願いします(気が早い)。


えっ卓球女子も本番はノーパンとかするの……?

『あまのじゃくな氷室さん3 好感度100%から始める毒舌女子の落としかた』感想

ストーリー
本当は大好きなのに、どうしても素直になれない涼葉だったが、波瑠との一件があったことで、勇気を出して愛斗を『恋来祭り』に誘った。だが愛斗は『恋来祭り』が行われる縁光神社の神様・ナンナに「絶縁したくなければ、涼葉と祭りに来るな」と言われてしまう。神様のパワーを恐れた愛斗は、なんとか上手く断る方法を探そうとするが……もちろんすぐにはいい案など出ず、夏休みは過ぎていく。涼葉と買い物や雅と勉強会をしたり、生徒会のみんな+雅たちで旅行したり……今までに無いほど充実した日々。そんなとき、なんと2人の前に愛斗の母親が現れ……!? MF文庫Jが贈る、捻れ系青春ラブコメ第3弾!

あまのじゃくすぎる毒舌ヒロインとの両思いすれ違いラブコメディ、怒涛の夏休み編。
合宿にアルバイトに母との邂逅などなど、夏休みだけあって氷室や砂城とのイベントが盛りだくさん。まあどれだけイベントをこなしても我らが氷室さんは相変わらずなんですけどね……。


関係を順調に進めている「気になっている」氷室と、そんな彼女の内心を知っている田島。
ふたりの中では少しずつ距離が縮まっているんだけれど、傍からは氷室が田島の惚れた弱みにつけこんで振り回しているようにしか見えないんだから、そりゃ話もこじれるわなという。
どうも氷室は自分が周囲からどう見られているのか分かっていない節があって、砂城との見解のズレが大変なことになっております。本音が見えていてもちょっと引いちゃうくらいなのに、表のセリフだけ聞いてたらそりゃそうなるわな……。
田島母からの敵意も致し方ないというか、まああの母は母で問題だらけなんだけれど、氷室の方にも落ち度があるので擁護のしようがありませんわ。田島と氷室のふたりだけで世界が完結していれば好き同士で何の問題もないんですけどねえ。


一方の砂城は着実にオタ島への想いを育てているようで。砂城の立場からすれば当然田島は氷室に振られるはずだし、万が一のことがある前に自分が! となるのも、まあ自然な流れでしょうな。
想いを自覚した影響からか、氷室とは対照的に、言動から田島への好意が透けて見えていてニヤニヤしちゃいます。ええわあ。恋する乙女やわあ。おい、田島母! お前は余計な口を出さんでいいんじゃ! しっしっ!
ただ、実際の田島&氷室は両思いなわけで。こんなにも可愛らしい砂城が、完全に蚊帳の外で独り相撲を打っている感じになってしまっていてすげー切ないです。どんどん彼女に感情移入してしまうよ……。
やつらが「恋約者」だとかわけの分からんことをやってるうちに、いっそ横からかっさらってしまえ! とも思うけれど、田島の反応がどうなるかな。ここまで来たら氷室も砂城も気持ちを隠さず、全力でバチバチやりあってもらいたいですね。


うおおおお相沢からジト目で「サイテー」って言われたい! できれば1日1回言ってほしい!!

『こいつらの正体が女だと俺だけが知っている』感想

こいつらの正体が女だと俺だけが知っている (講談社ラノベ文庫)

こいつらの正体が女だと俺だけが知っている (講談社ラノベ文庫)

ストーリー
俺にとって真琴と忍は憧れの男だった。そんなふたりと七年ぶりに再会し、学生寮で相部屋になり、むさ苦しくも楽しい日々の幕開け――と思ったのだが、お前ら女の子だったの!? ったく、俺にだけ教えないなんて酷いじゃねえか――って、お前らもお互いの性別を知らないのかよ! ……え? 真琴(忍)に女だとバレると困る? 頼れるのは俺だけ? しょうがねえな、性別がバレないように俺がサポートしてやるぜ。だから安心して普段通りに過ごしてくれ――って、お前らいつもそんな生活送ってるの!? よくいままで女の子だってバレなかったな……。油断しがちなふたりの男装女子と送る、実はハーレムな学園ラブコメ!!

緋悠梨さん(緋悠梨📖🍆 (@ge73hy) | Twitter)からオススメいただきました。ありがとうございます!
お嬢様だらけの学園に3人だけ入学を許された男子。でも3人のうち2人は男装女子だった! 女子だとバレちゃいけないわりに何かとガバガバすぎる男装ヒロイン2名と織りなすダブルヒロインブコメ
男子だと偽っているわりに男の知識がなさすぎてどう見てもバレバレなのだけど、周囲も箱入りお嬢様ばかりだからなぜかバレない、気付いているのは主人公だけ……というツッコミどころ満載なドキドキ生活が楽しい、さくっと読めるコメディ作品でした。


幼少期からの親友。「男3人」でいつも遊んでいたあの頃。しかし高校に入学した竜之介が再会した友人2人はなんと男装女子だったのだ!
いやいやどう見ても無茶があるというか、真琴も忍もえらい美少女だし忍なんて巨乳だし、周りから女子だとバレないように生活するなんて不可能すぎる……と思いきや、学園に通うお嬢様たちも男に対して無知すぎてなぜかバレていないというカオス空間。まあそれならバレなくても不思議ではないのか……? いややっぱりおかしいでしょ(笑)。
巨乳にサラシを巻けばなんとかごまかせるという点にはまあ目をつぶるとして、水泳の授業でずっと竜之介におんぶしてもらっておっぱいを隠すというのはさすがに疑問手すぎる! 本人同意の下で「押し付けられる」竜之介さん、なんておいしい立場なんだ……。


他の生徒たちはまだいいとして、問題は真琴と忍がお互いに女子だとバレたらいけないということ。
それぞれに不信感を与えないようにそれぞれのサポートをする生活めっちゃ疲れそう……なのと同時にめっちゃ羨ましい。
ふたりは竜之介のことを友人として見ているわけで、恋愛感情というところまではまあ、まだ行っていないと思うんですけど、竜之介の方はどうなんですかね。
口では「親友だから」秘密を守らないと~とか言ってるけれど、それなら男子についての誤解を色々解いてやれよとか思うし、なんだか職権乱用して楽しんでいるよにも見えてしまう。まあ分かりますけどね。男の子だもんね。
真琴も忍も目的のために男でありたいわけで、その思いがなんとかクリアされないとラブ方面はあまり進みそうにないのですが……このいびつな関係がどのように進んでいくか、今後の展開が楽しみです。


イラストは伍長さん。真琴も忍もめっちゃ可愛く描かれていて素晴らしい。
特にキスシーンがよかったです。えろい。


なお個人的な推しは真琴でも忍でもなくメイドの雪路さん(かわいい)。