まだまだペンキぬりたて

ライトノベルの感想

『察知されない最強職 1』感想

察知されない最強職(ルール・ブレイカー) 1 (ヒーロー文庫)

察知されない最強職(ルール・ブレイカー) 1 (ヒーロー文庫)

ストーリー
交通事故で命を落としたヒカルは、死後の世界で魂の裁きを受ける列の中にいた。死者たちは放心状態で行列に並んでいたが、意識を取り戻したヒカルは行列を外れて辺りを探索する。そこで死者が死者をいたぶるいじめの現場に遭遇した。腹が立ったヒカルは、いじめられていた青年に合図し、反撃の一手を与えることに成功する。青年と別れたヒカルは、その機転と行動力を認められ、「貴族」ふうの少年に声をかけられる。その少年、ローランドが言うには、「ある頼み事」を聞いてくれれば異世界にあるローランドの肉体に転生させてくれるというのだが――。

異世界で暗殺された元貴族の少年。その身体に魂ごと転生した主人公・ヒカルが、転生時に得たスキル「隠密」を駆使して異世界を駆けるファンタジー
転生の時にもらったギフトと転生者の特権(?)を活かした陰ながらの無双ぶり。囚われの少女を救い出すストレートな話の展開。楽しく読ませてもらいました。


もし異世界に転生できるとして、その時に何かスキルを上げることができるとしたら。隠密スキルはわりとロマン溢れる選択肢ですよね! まあ結局体力とかスタミナとか、そういうのを上げちゃう気がしますけど……だってモンスターとか普通に怖いし……。
しかしヒカルくんにはそもそもそんな悠長なことを言っている余裕がなかった! なんてったって1時間以内に伯爵を暗殺しなければならないから!
いやいや15歳の少年に転生先でいきなり暗殺クエスト発生させるとか鬼か。こちとらその世界で今後も生きていかなきゃならんっちゅーねん。もちろん、そこでやってのけてしまうから主人公なんですけど。
ヒカルは15歳にしては冷静さや決断力が際立って大人びていて、悪く言えば可愛げがなくて、なんというかリアルではあんまり友達になりたくない感じのいけすかない奴ですね(笑)。まあいきなり異世界に放り込まれるんだから、これくらい特別でなければね。


やむなく手にした隠密&暗殺スキルだけれど、ファンタジー世界で銭を稼ぐのに案外役立っていて笑います。技能があるってだけでずいぶん違うもんだ。
それで毎日クエストをこなす内にギルドの受付嬢と良い仲になっちゃったりしてね。ベタ展開だけどそれはそうとフレアちゃん可愛いなちくしょう。
またヒカルへの軽い愚痴になっちゃうんですけど、お前どうしてこれでフレアちゃんにぞっこんにならないわけ! 15歳でしょ青少年でしょ! 気軽に恋に落ちちゃえよ! もっとおっぱい見るとかさあ!
ポーラだってそうですよ。お前あんだけキメッキメで「運命の人」感出しといてゴブリンから助けてはい終わり、じゃないんですよ。女の子を恋に落としたんだからそれ相応のアフターケアをするべきなんですよ。分かんないかなあ~少年???
……とかなんとか思っていたら、最後にちゃんと本命ヒロインが待っていてくれたので安心しました。逆に、どうしてこうも可愛い女の子と連続で懇意になれるんだか……という意見もありますが、まあラヴィアちゃんに関しては文句なしでしょう。人生において悪い貴族からいたいけな女の子を救い出すことほど重要なイベントはそうそうないからね。


さて今後の展開ですけど。ヒカルの無双モードがいつまで続くのかが目下の問題でしょうか。隠密特化ってかなりピーキーですしね。新たに得るスキルがどんなものかも楽しみですが、ソウルボードのことなど周囲からしたら結構なズルもやってのけているので、どこかでその揺り戻しが来るんじゃないかとちょっと心配です。
「なろう」ではだいぶ先まで更新されているようですが、僕は画面で小説読めない病なんで(笑)おとなしく書籍化を待つことにします。楽しみです。


イラストは八城惺架さん。あかんフランちゃんが可愛い。フランちゃん可愛くない?
ラヴィアもポーラもいいけどキャラデザでは断然フランちゃんだわ……一緒にジュース飲みたい……。


そういえば地味に初ヒーロー文庫でした。

『弱キャラ友崎くん Lv.6』感想

ストーリー
文化祭を目前に控えた11月。俺、友崎文也は日南との会議を再開し、また課題にとりくむ日々を送っている。そんなとき、日南が俺に尋ねる。「あなたは、誰が好きなの?」――それは、俺がひたすら保留にしてきたこと。彼女をつくるという目標に向けて、避けては通れない問い。けど、俺に誰かを選ぶ権利なんてあるのだろうか? 成長してきた実感はあるけれど、それでも、心の奥底で俺の弱キャラ精神が言うのだ。――選ばれるはずのない俺が、誰かを選ぶなんておこがましい、と。大ヒット人生攻略ラブコメ、第6巻登場!

文化祭実行委員としてクラスの中心として奮闘しつつ、日南からのインスタ写真撮影クエストを達成していく友崎くん、の巻(まき)。
上位カースト勢との友人ぶりもだんだん板についてきて、今度は実行委員ですか。いよいよ本格的にリア充への道を歩みだした感がありますな。
恋愛方面も少しずつ動きがあって、おやおや(ニヤニヤ)としていたら、ラストに全部もってかれましたよ。うおおー! 好きじゃ、お前が好きなんじゃー!!


日南から課された指令は、インスタ用の写真を指示に沿って撮影すること。そして付き合いたい女の子を「2人」決めること。
いやあ、同時に複数攻略する方が恋愛の難易度は低いっていう、その持論は分かりますけどね。それを恋愛初心者の高校生に求めちゃいますかね。やっぱリア充の考えることってわかんねーわ! フケツ、フケツよ!
いや、そもそも日南さんは恋愛経験あるんでしたっけ? 見た感じではなさそうだけど。高2にして既に酸いも甘いも噛み分けてそうな水沢きゅんが言うならまだ理解できますけど、日南はどうしてここまで恋愛に対してシビアになれるのやら。


日南から攻略対象として挙げられた5人についてちょっと考えてみましたけど。
泉はねー。めっちゃ可愛いですけどね。ぶっちゃけヒロインとしてはすげー好きですけどね。中村と付き合ってさえいなければなあ。いや略奪愛は無理でしょ……ハードル高杉晋作ですわ……。
たまちゃん。前巻を経て、だいぶ友崎との距離は縮まった感じがあります。でもやっぱり楽しい友達っていう印象。
日南はまあ、おいておこう……泉よりもキツいわ。でも「私?」って小悪魔的に聞いてくる日南はやっぱりゾクッとくるほど魅力的で悔しい。いつかぎゃふんと言わせてほしいです。友崎のレベルが80くらい上がった頃に……。
菊池さんは今巻のヒロインその1と言えるでしょう。友崎を通して、彼女が表舞台に上がってきたことは本当に嬉しく思います。で攻略対象としてなんですけど、この子わりと序盤から落ちてるよね? ね? たぶんこの子と付き合ったら一番幸せな気がする……のは確かなんですが、なんというか、菊池さんエンドを迎えるならばここまでリア充になる特訓をする必要はなかったんじゃないか感もあって、今作で選ぶヒロインとしては微妙にも思えてくるんですよね。彼女を切るのはめちゃくちゃ胸が痛みますけどね……。
それで、残るは今巻のヒロインその2・みみみなんですけど。彼女は本当にいいヒロインですよね。オタクは距離感の近い女子に弱いんですよ。僕は詳しいんだ。友崎への「ブレーン」呼びたまらん好き。言動のそこここに友崎を気にしてるのがにじみ出ているのすごい好き。で、今回のラスト。あれはずるい。ずるいでしょ。これもうみみみエンドでいいでしょ。いやーみみみ推しで良かったわ。僕の脳内では既にリンゴーンって鐘が鳴ってますよ。最高です。ありがとうございました(完)。


……と、いう感じなんですが。肝心の友崎はそれ以前のところで引っかかっていたようで。
いやー分かりますよ。友崎の非リア思考、すんごい理解できますよ。なんなら水沢きゅんに直接叱られてる感覚でしたよ。自信を持つってのは怖いことなんだよ。
ここで「お前みたいなリア充イケメンにはわかんねーよ」とか思っちゃうから駄目なんでしょうね。辛いな。リア充になろうとするって辛いよ。僕は永久にラノベの世界に引きこもっていたいよ。
でも我らが友崎くんはそこから一歩抜け出す勇気を持てたんですよ。リア充になるために。偉いよ。誰だってぬるま湯に浸かっていたいもん。
うっかり長くなってしまった。次回、運命の文化祭編、大きく人間関係が動き出す……か? といったところでしょうか。いやはや大期待です。楽しみにしています。


水沢きゅんのナンパテク恐るべし。

『常敗将軍、また敗れる』感想

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

常敗将軍、また敗れる (HJ文庫)

ストーリー
「貴様はこれまで父ローディアスと二度、長兄シャルクとは一度戦っているはず。そして、どの戦にも負けた」
ティナの声が少し弾んだ。
「しかし、まだ生きている」
世界最強の「ヴァサームントの騎士団」当主の娘、ティナは初陣にて『常敗将軍』と渾名される異端の英雄、ドゥ・ダーカスと出会った。陰謀に満ちた戦乱の世界で破格の生き様を見せる英雄ダーカスと、その姿を追いかけるティナや姫将軍・シャルナら魅力的なキャラクター達が織り成す一大ファンタジー戦記!

第11回HJ文庫大賞<大賞>受賞作品。「常敗将軍」と揶揄される異端にして破格の英雄が敗北必至の戦場を駆け抜けるファンタジー戦記。
直接的な武勲や計略の凄さではなく、伝説の傭兵としての生き様を見せることで主人公を主人公たらしめている、わりと見ないタイプの戦記モノかなと思います。
とにかく負けまくるのでともすれば格好悪い主人公だとさえ思えてしまうけれど、最後に全ての真意が明かされるとその働きぶりに感心してしまう。構成の妙を感じる1冊でした。


主人公・ダーカスは20年もの間戦場に立ち、そして敗北し続けながらも生き延び続けてきた歴戦の傭兵。
そんな彼が新たに託されたのは、隣の大国から侵攻された小王国ヘイミナルの救援だった!
いやあ、常敗将軍とか言ってもなんだかんだでカッコよく決めてくれるんでしょとか思っていたんだけれど、この男本当に負けまくる。
まず策を献上しても受け入れられないし、局地戦でも負けるし、民の犠牲だって出してしまう。多分何かの狙いがあってこんなことをやっているんだろう、そう予想はつくものの、仲間たちにすらその狙いを明かさないもんだから周囲の気持ちも離れていく。
そんなわけで、終盤になるまでのダーカスはわりとガチで魅力を感じない主人公でした。むしろ、剣技冴える新人少女傭兵のティナや、若手の傭兵団を束ねるアイザッシュらの方がよほど魅力的に思えます。


ダーカスが何をやっているんだかさっぱり分からないままにやってくる王国存亡の時。
ラストもラスト、全ての決着がついてから、ようやく彼の真意と目的が明かされる。
正直なところ、やっぱり「ダーカスすげー!」という感覚はあまりなくて、「なるほど、こういう主人公なのね」という妙な納得感というか、そういう気持ちの方が強かったです。これが、20年間生き延びてきた傭兵の戦い方なのかと。
ある程度の犠牲は仕方ないと割り切ってしまう姿勢など、見ていてスッキリしないことも多いけれども、どんなことをしでかしてくれるのかワクワクする主人公でもあります。
旅の仲間も増えたことですし、今後の話がどうなっていくか見ものですね。個人的にはシャルナの活躍を楽しみにしています。


イラストは伊藤宗一さん。ヒロインは可愛らしく、男性陣は荒々しく。迫力のあるイラストでした。
マルハルドの表情ときたら(笑)


ファンタジー戦記を名乗っておきながら地図のひとつも載せないとは何事か!(戦記ラノベ読み過激派)